障がい児の福祉【保育士サポートサイト】

障害児福祉施策の移り変わり

(1) 児童福祉法成立前

 

民間の篤志家といわれる人々による生活型施設の設立が、
障害児福祉対策の始まりです。

 

たとえば、石井亮一が明治期に設立した
知的障害の子どものための施設「孤女学院(後の滝乃川学園)などがあります。

 

石井亮一は、人身売買されている貧しい農村の子女の中に、
知的障害を持つ児童を見出し、彼らを哀れんで学園を設立しています。

 

そして、1947年の児童福祉法の成立まで、
障害児施設の設立や運営は篤志家の人たちにまかされていて、
障害児に対する福祉施策は特にとられていませんでした。

 

障害をもつ児童の養育は、全面的に家庭にゆだねられ、
家の恥として障害家の中で隔離されてすごしたり、
そればかりか、障害を立たれたひともいました。

 

(2) 児童福祉法成立後

 

児童福祉法成立後は、すべての児童に人権が認められ、
障害児に対する公的責任が明確化されました。

 

今まで、篤志家によって設立され運営されていた施設は、
精神薄弱児施設、肢体不自由児施設、盲・ろうあ児施設として運営され、
障害児に対する施策が行われる様になりました。

 

しかし、この段階では、軽度から中程度の障害を持つ児童が対象で、
重度の障害を持つ児童の対策は後回しにされ、
生活型の施設に対象は、中程度の障害を持つ児童が想定されていました。

 

そして、重度の障害を持つ児童の養育は在宅で行われ、
すべて家族に任されていました。

 

戦後、核家族化により家族機能が縮小すると、
重度の障害を母親一人で養育するというような負担に耐え切れず
家庭が崩壊したり、子どもの将来を悲観し、
親子心中をするなどの事件が相次ぎ、社会問題となりました。

 

当時の親子心中は、親による子どもの殺人というよりも、
やむをえない心情として同情的に受け止められていましたが、
障害児関係団体運動などの働きかけもあり、
1967年、重度の知的障害と重度の身体障害を併せ持つ児童を対象に、
「重症心身障害児施設」が児童福祉法に規定されました。

 

(3) 施設福祉から在宅福祉への移り変わり

 

障害児に対する施設は、障害児の生活を保障するための
施設の数の拡大がまず進められ、
1970年代には今までの施設中心のケアが見直され、
在宅福祉を進める流れも出てきました。

 

1974年、障害保育に関する通達が出され、
障害児が地域の保育所に通うことが可能になり、
1979年には、養護学校完全義務化が施行されました。

 

今までは、学習の準備がでいていないという理由から、
「就学猶予」のもと、学校教育を受けることができなかった子どもにも、
就学の機会が保障され、学校教育を受けることができる様になりました。

 

そして、通学ができない在宅の重度障害児には、
訪問教育が行われました。

 

1980年代は、ノーマライゼーション思想のもと、
在宅福祉が推し進められました。

 

その後、1995年には、
「障害者プラン〜ノーマライゼーション7ヵ年戦略」が策定され、
ライフステージのすべての段階で
「普通」に生活することができる社会を目指そうということになりました。

 

この「障害者プラン〜ノーマライゼーション7ヵ年戦略」が終了する2002年に、
2003年にスタートする10年間の基本計画を示した「新障害者基本計画」が策定されました。

 

「新障害者基本計画」では、障害がある、ないに関わらず、
国民の誰もが相互に人格と個性を尊重し支えあう「共生社会」の実現を目指す事にしています。

 

(4) 障害に関する法律用語の移り変わり

 

国、そして人々の障害観が変るにつれ、法律用語も変化しています。

 

以前は「精神薄弱」と言う言葉が使われていましたが、
この言葉には、障害を持つ個人に対する否定的な意味合いが感じられるとされ、
「精神発達遅滞」や「知的障害」など、法律用語と関係のない場面では、
既に別の言葉が使われていました。

 

そして、1998年になると、精神薄弱と言う法律用語はすべて「知的障害」に
置き換えられました。

 

(5) 障害者の支援制度

 

2003年、支援費制度がスタートしています。

 

これは、それまで行政がサービス提供を決定する措置制度であったものが、
障害者自身が自分でサービスの内容を選択し、決定して、
事業者との契約によりサービスを利用するものです。

 

障害児についても、在宅サービスが支援費制度の対象となりました。

 

2004年、「発達障害者支援法」が成立し、
これにより、今まで福祉の対象外であった発達障害児への対策も実現しています。

 

2006年、「障害者自立支援法」が成立しました。

 

これは、「地域社会での自立した生活の実現」を目標としたもので、
児童期の発達支援から成人期の就労・生活支援に至るまで、
ライフスタイルを通じた地域支援サービスを提供するものです。

 

また、今まではサービスが、
「知的障害・身体障害者・精神障害者」の対象別に分断されていましたが、
市町村を実施の責任主体として一元化し、
児童福祉法に規定されていた18歳未満の障害児を対象にしたサービスも統合しました。

 

2007年、養護学校は、特別支援学校と名称が変更されました。

 

2010年、児童福祉法の改正により、
発達障害を含む精神障害が障害児の定義として加えられました。

 

また、今まで知的障害・身体障害などの障害別になっていた施設を一元化し、
相談サービスの新設なども進められ、
障害児の身近な地域支援の充実が図られるようになりました。

 

そして、この2010年の児童福祉法の改正は、
「障害児支援の強化」を目的としています。

 

このような、障害児に対する支援により、
障害児の早期発見や早期支援、
そして子どもの将来に向けた一貫した発達支援、
地域での家族を含めたトータル支援の実施が図られます。